パセリは最も食卓に上がる機会が多くて知名度の高いキッチンハーブですね。南イタリアなどの地中海沿岸が原産のセリ科の1・2年草です。大きくても60センチぐらいの濃い暗緑色のパセリは茎も葉も特有の香りがあります。比較的狭い場所でも育ち栄養価も高く色鮮やかな葉は、一鉢植えておくと見ても美しくテーブルにも便利です。ハンギングバスケットに植えこんでベランダの手すりにかけてもオシャレかもしれませんね。

目次

パセリの品種

ベランダ菜園の人気者のパセリですが、その種類は10種類以上もあるのです。一番よく出回っているのはカールして縮れた縮葉種のカーリーパセリです。グランドという品種は収穫量が他の品種よりも多いのが特徴です。イタリアンパセリはフレンチパセリとも呼ばれ、縮れのない三つ葉に似た平葉種で、苦みが少ないのが特徴です。

パセリの栽培時期

5月から8月ごろに小さな白い花を咲かせます。残念ながら花芽が付くと葉が急激に硬くなってしまうため摘み取ることをおすすめします。しかし、ベランダ菜園の良いところは柔軟に対応ができる点なので、一株だけでも花芽を残してあのかわいらしい白花を観察して種を収穫してみてはいかがでしょうか。

植え付けは3月から5月の春期と9月から11月初旬の年2回ぐらいが適期です。苗が年中出回っているのであまり厳密に植え付け時を選ばなくても大丈夫です。

肥料は真夏の暑い時期は避けるようにします。

パセリのプランターと用土

生育旺盛なパセリはほぼ年中無休で収穫できます。このため、プランターなどの大きなものでなくても鉢植えで十分かもしれません。5号鉢(直径15センチ程度)で普段使いぐらいは賄えるでしょう。あまり大きなプランターになると水はけが悪くなるので小さめを選びます。プランターなら深さは15センチから20センチぐらいならOKです。

酸性で粘土質で水はけが悪い、この3点を避ければほぼ土は選びません。市販の培養土で十分ですね。自分で配合するならば赤玉土7:腐葉土3ぐらいが良いでしょう。

パセリの種蒔きと植え替え方

パセリの種はちょっと風変わりです。光がないと芽が出ないのです。種蒔きに適しているのは4月から6月初旬と9月から11月の寒くなる前までです。種が固いので一晩水に浸けておいて蒔きましょう。鉢に用土を9分目ぐらいまで入れ、3粒ずつぐらいの点蒔きにします。薄く土をかぶせて蓮口付きのじょうろで乾かないように発芽まで水をやります。この時の土のかぶせ方がポイントで、光がないと芽が出ないのでうすくうすく種が隠れる程度の土をかぶせます。1センチもかけたら芽が出ませんのでご注意ください。2ミリぐらいが限界です。

1週間ほどで発芽したら本葉を待ちましょう。本葉が1枚出た頃から葉の色や元気の良さを比較して少しずつ間引きます。本葉が3枚から5枚になるころまでに重なり合うところがない状態にしましょう。

植え替えは苗が大きくなったら避けます。パセリの根は直根性で枝分かれしない太い根が縦に伸びていきます。大きくなると植え替えで根が切れる恐れがあるので株ごと死んでしまいます。植え替えるなら株が小さいうちにやってしまいましょう。苗を購入した場合も根を傷つけないように注意して植え替えてください。株同士の間隔は15センチぐらいが良いですね。

パセリの置き場所

パセリを育てる環境は、真夏の強すぎる日差しを避けるという点以外は育てる人の好みで決まるとも言えます。日陰過ぎると間延びするのでその点も避けたほうが良いでしょう。日当たりがとても良いところに置くと葉色が濃さを増し食感が固くなります。逆に半日陰だと葉色が淡めになり食感も軟らかめになります。置き場所を2か所にしてお好みの感じを見つけてみてはいかがでしょうか。

耐寒性があるのであまり防寒対策は必要ありませんが、霜がかかると葉が焼けてしまったり北風や地面が凍るような時には少し腐葉土を株にかぶせてやるか場所を移動させましょう。いずれにしても軒下で越冬できます。

パセリの増やし方

白い花が咲いたら種を収穫しましょう。パセリは種で増やします。花が咲いて結実するのに45日から50日程度で、花全体が黄色っぽくなってきます。一気に収穫しようとしても花がたくさんあるため時間差ができます。このため、2回から3回ぐらいに分けて茎ごと切り取りましょう。風通しの良い場所に広げて乾燥させながら追熟させましょう。春か秋にこの種を蒔いてやればパセリがどんどん増やせるのです。

パセリの水やりと肥料

セリ科のハーブは比較的水分を好みます。乾燥にはちょっと弱いものの水がとどまることは嫌います。冬以外の生育期間はあまり乾かさないように土の表面が8割ほど乾いたら水をやります。水はけが悪いと株元から腐って枯れてしまいます。水はけのよい土と過湿にならない場所も重要です。冬は土の表面がすべて乾いてからやるぐらいの控えめが良いですね。

肥料は液体肥料でかまいません。元肥として緩効性肥料を少し混ぜ込んでおけば、あとは冬以外は週に1回程度薄めた液体肥料をあげれば十分です。冬は水やり同様控えます。もこもこと葉を茂らせるパセリは生育期間中の肥料を欠かさないようにしましょう。

パセリの花茎摘み

たくさん咲く小さな白い花は種を取るためには大切に摂っておきたいですよね。でも、種を取る茎は一株に1本から2本ぐらいに留めましょう。花が付くと猛スピードで葉が固くなってしまいます。刻んでも口の中でモゾモゾするぐらい固くなります。そのため花の付く茎を見つけたら早々に摘み取りましょう。春蒔きにしたら翌年には花茎が伸びるので、種の収穫用の株にしてしまっても良いかもしれませんね。

パセリの病害虫対策

過湿になると軟腐病が発生します。まめに葉を収穫して風通しを確保することと水のやりすぎには注意しましょう。

あまり害虫は見当たりませんが、困ったことにキアゲハの幼虫がつくのです。キアゲハに害はないのですが幼虫は葉を収穫よりも速いスピードで食べてしまいます。キアゲハを見かけたら防虫ネットをかけることをおすすめします。

パセリの育て方やポイント

日当たりの加減で葉のやわらかさが変化します。ただし、完全な日陰では枯れてしまいます。
水はけを良い土で風通しの良いところに置きましょう。
葉を収穫するなら「とう(花茎)」が立ったらすぐに摘み取らないと固くなって食感が悪くなります。

パセリの収穫と活用法

パセリの収穫はカンタンです。株の外側から順に摘み取っていけば良いだけです。梅雨や秋の長雨などで過湿気味だなと感じたらちょっと多めに摘んでやりましょう。

パセリは食卓の名脇役ですが、実はとても栄養豊富なハーブです。皮膚や粘膜・免疫力を高めるβカロテンやビタミンC・鉄分などは他の野菜をしのぐ含有量です。香り成分のアピオールは悪玉菌退治や雑菌の繁殖を抑えたりする作用があります。お腹にも良いですし、食事の最後にパセリを噛むことで口臭を押さえることもできます。抗酸化作用も高く、良い効果がたくさんあって育てやすいパセリは一家に一鉢育てておきたいですね。

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