羽毛のような柔らかく細い葉を茂らせ、黄色い小さな花を咲かせます。アジア原産で高さは1メートルほどまで成長するセリ科の1年草です。古代エジプトでも栽培されていた歴史の古いハーブで、日本では江戸時代初期から薬として利用されてきました。ディルは茎や葉から種まで過程で活用できるハーブです。
目次
ディルの栽培時期
ディルの開花は4月中旬から8月中旬ぐらいまでです。傘を開いたように黄色い花がたくさん咲きます。目立ちませんがかわいらしい花です。
種蒔きは春と秋の年2回、暖かい気候の時期が適しています。
ディルのプランターと土
プランターは60センチ前後の中型から大型のものを用意します。
用土は水はけが良く保水力もあるものを好みます。赤玉土7:腐葉土3で混合するか市販のハーブ用培養土を利用しても良いでしょう。
ディルの種蒔きと植え付け
根が地面と垂直に伸びていくディルは移植しなくて良いように直播をします。用土を入れたら指で1センチほどの深さの穴をあけ、種を5粒ずつ蒔きます。60センチ以上ある大型のプランターなら横に溝を2筋作ってすじ蒔きもできます。双葉が出そろったら葉同士が重ならない程度まで間引いて成長させます。本葉が5枚以上になることに株の間隔が20センチ程度あくようにするとその後も良く育ちます。初めての栽培なら秋蒔きの方が強い苗が育つのでオススメです。
苗植えの場合はポットの中の根を崩さないように植えこみます。60センチのプランターなら3株植えられます。根に傷がつくと枯れてしまうので注意しましょう。
秋植えにするとまだ株が小さい時期に寒くなります。凍らない程度に枯葉などでマルチングすると春にはまた成長を始めます。
ディルの水やりと肥料
ディルは少し湿り気のある土地を好むので、土の表面が8分ほど乾きかけたら水やりをします。表面が全部乾いてからでは水分が間に合わず、葉がしおれたり乾燥しすぎで株ごと倒れてしまうこともあります。夏場は余計にしおれやすいのでこまめな水の管理が必要です。
肥料は真夏の8月は避けて与えましょう。春先から始めて開花している時期は液体肥料を薄めて2週間に1回ほど施すようにします。
ディルの間引きと支柱立て
20センチぐらいの高さまで成長したら間引き(新芽の先を摘み取る)をしましょう。間引きをすることで脇芽が増えて収穫量もアップします。
ディルは背の高い草で30センチぐらいで倒れる株が出てくるので間引きと一緒に支柱を立てます。支柱を立てない場合は株元に土を盛りましょう。
ディルの置き場所
日当たりが良い場所を確保しましょう。日陰や蒸し暑い場所では一気に元気がなくなり枯れてしまいます。
もうひとつ置き場で重要なのはフェンネルの傍に置かないことです。同じセリ科のフェンネルとはできるだけ離さないと交雑してしまいます。種を取って翌年育ててみたら交雑種だった・・・ということにならないように気を付けましょう。
ディルの病害虫対策
ディルは特別な害虫対策は必要ありませんが、キアゲハが飛んで来たら見回りが必要です。キアゲハはディルがとても好きで、夏になると良く飛来して卵を産み付けます。孵化した幼虫に気づかずにいると見事に食べられてしまいます。防虫ネットをかけるか幼虫を捕まえるかのどちらかですが、防虫ネットをかける方が現実的ですね。
夏季に多湿な状態が続くとウドンコ病が発生することがあります。下葉を刈り取るなどして風通しを良くし、肥料のチッソ分を少し控えると発生が少なくなります。
ディルの増やし方
こぼれ種から発芽するので増やす手間はほとんどかかりません。収穫を兼ねて種を取っておいて他所に植える場合は紙袋を用意しましょう。花が咲いた後に株が茶色く枯れてきたころがチャンスです。花がらの上から紙袋をかぶせて茎ごと切り取ります。あとは風通しの良いところに提げておくだけで追熟した種が袋の中に溜まります。集まった種を風通しの良いところに翌年まで貯蔵して蒔くか、そのままとり蒔きにするかの2通りです。
ディルの育て方のポイント
日当たりのよい場所を確保しましょう。日陰と過湿は禁物です。
フェンネルを一緒に栽培している場合は近くに置くと交雑します。交雑種では成長はしますが香りが薄く活用できません。
水を切らさないように、水やりは用土が乾ききる前にたっぷりやりましょう。
20から30センチに育ったら、支柱を立てるか株元に盛土をして倒れないようにします。
ディルの活用法
ディルは胃腸の働きを促進する作用があります。また、やわらかな催眠作用や鎮静作用を持っています。葉や茎はもちろん種も食用として活用できます。
魚料理にとても良く合うディルは枝や生葉をカットしてソテーやムニエルの香りづけとして使用します。もちろん肉料理にも合いますし種は焼き菓子の香りづけとしても利用できます。キュウリのピクルスを育てる時に一緒に漬け込むと香りがとてもよく、食欲も増すのでオススメです。ピクルスなら葉よりも種を使った方が香りが引き立ちます。
生花を切り花として、ドライフラワーにしてオーナメントとしても楽しめます。