花の命の短さを物語るのがデイリリー(ヘメロカリス)です。本当に1日の命の花ですが、それだけに美しさも格別です。短命ですが次々と開花する性質で観賞できる時期が長い花です。朝開花して夕方しぼんでしまう「昼咲き」と夕方咲いて翌朝にはしぼむ「夜咲き」の2タイプがあるのも特徴です。園芸品種だけでも2万種を数えるというバラエティの多さが人気の要因なのかもしれませんね。開花時期も花色も咲き方も、好みのものから選んで植えてみると楽しいですね。もともと日本に自生しているニッコウキスゲやノカンゾウなどの種もあるので育てやすいです。
目次
デイリリーの品種
「キスゲ」は北海道から九州まで野生種として分布しています。夜咲性で花は鮮やかなレモン色、良い香りがする大型種です。ユウスゲと呼ばれることもあります。「ヒメカンゾウ」はやや小型で30センチぐらいの草丈です。これも野生種ですが赤色の入ったオレンジで、芽が痛くなるぐらいの鮮やかさです。江戸時代から栽培されている品種です。「ゴールデン・ゼブラ」という葉に斑が入る矮性種もあります。緑の葉に白い斑、濃い黄色の花のコントラストが美しい品種です。「フルヴァ」はホンカンゾウと呼ばれ、昭和の初めに日本に入った品種です。これは中華料理の金針菜で、根は漢方薬としても利用されています。
デイリリーの栽培時期
開花時期は5月から9月ごろです。次々と花が咲き、開花時期も長めです。
植え付け時期は3月から5月と9月から11月初旬までです。
肥料は春と秋に与えます。
デイリリーのプランターと用土
デイリリーは比較的大きなプランターが良いでしょう。65センチ以上の大型プランターなら2株、10号鉢(直径30センチ)なら1株が目安です。
用土はあまり選びません。水はけと適度な保水性や有機質がある土なら良いので、市販の培養土で十分です。配合する場合は赤玉土7:腐葉土3か6:4ぐらいの割合で混ぜましょう。緩効性肥料を少し混ぜておくと生育が良いです。
デイリリーの種蒔きと植え付け
種蒔きは9月から10月ぐらいに済ませたほうが寒くなる前に新芽が伸びます。あまり遅いと寒さでやっと出た芽が枯れてしまいます。種は直播にして軽く土をかぶせ、乾燥しないように水やりをしながら管理します。あまり神経質にならずに発芽を待てる強い植物です。
ポット苗が市販されるのはおもに春です。植え替えをしばらくしたくない場合は10号鉢ぐらい、そうでなければポットよりも二回り大きいぐらいの鉢に植え付けると良いでしょう。65センチ以上のプランターなら2株を目安に間隔を30センチぐらい取って植えます。秋に市販の苗を購入した場合は10月末から11月初旬ぐらいまでには植え付けてやりましょう。
デイリリーの置き場所
日当たりと水はけの良い場所が向いていますが、鉢植えの場合は真夏に横からの熱も加わって株が弱ることがあります。午前中は日向で午後は日陰になる場所が一番合っていると言えます。半日陰でも育ちはしますが花数が少なくなります。
耐寒性が高くマイナス10度ぐらいまでならほったらかしで越冬してくれます。土が凍っても大丈夫ですが、凍りっぱなしになるような地域では軒下に移動してやりましょう。
デイリリーの増やし方と植え替え
デイリリーは株分けで増やします。9月から10月ごろ、株元から10センチぐらいで刈り取ってから株分けします。3芽から5芽ぐらいになるように切り分けて植えつけましょう。大きめの鉢に植え付けていればそれほど頻繁に株分けする必要はありません。根が混み合ってくると生育が悪くなって花付きが悪くなるので、花の数を目安に作業すると良いでしょう。
鉢の底から根が伸びてきたら植え替え時です。一回り大きな鉢に植え替えるか株分けしましょう。植え替え時は春と秋の年2回です。
デイリリーの水やりと肥料
土の表面が乾いたらたっぷり水やりをします。花の時期にはあまり乾燥すると蕾が落ちるので夏季の水切れには注意しましょう。鉢植えはベランダの環境に左右されやすいので、株の状態を見ながら水やり回数を1日2回にすることも大切です。過湿も乾燥もし過ぎないようにしてやることが大切です。冬場は極端な乾燥を避けるようにしますが、回数はかなり控えめになります。10日に1回ぐらいが目安だと考えましょう。
肥料は緩効性の肥料を元肥として混ぜて、あとは3月から5月ごろと9月から10月ごろ花が終わってからのお礼肥えです。化成肥料を株元に蒔くか、液体肥料を2週間に1回ほど与えます。
デイリリーの花がら摘みと花茎切り
花が1日で終わってしまうので開花時期には花がら摘みが欠かせません。枯れた花をつけたままにしておくと種を育てるために養分を取られてしまいます。そのままにしておくと株も弱ることになるので、花がしおれたら花を摘み取りましょう。花茎に花がなくなったら付け根から切り取ります。
デイリリーの病害虫対策
温かい時期にはアブラムシとの戦いです。かなり大胆に発生するので殺虫スプレーを用意しましょう。カイガラムシも発生することがあります。
デイリリーの育てのポイント
半日陰でも育ちますが、日当たりが良いほど花付きが良くなります。
アブラムシが天敵です。殺虫スプレーを始めに用意した方がよいです。顆粒のオルトランを雨降りや水やり前に株の間に入るように蒔いておくと緩和します。蕾が付くころから予防措置として散布しておくのが得策です。
花がら摘みが欠かせません。こまめに花がらを積むことで株も立派なものになります。
デイリリーの収穫と活用法
デイリリーは鉄分がとても多いので貧血予防に効果があります。中華料理では蕾も食べますが、日本では若い芽をおひたしや酢味噌あえにして食べています。開花前の若葉は甘みがありキシキシとして歯ざわりです。蕾はエディブルフラワーとしてサラダなどにも利用できます。ひとつ注意したいのは、品種によっては有毒なものもあるのでよく調べてから食用にするということですね。