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根こぶ病の症状
根こぶ病とは、アブラナ科の野菜の根に発生する病気です。発病すると、根が異常に生長し、こぶのような形になります。こぶは、地表近くの根にできることが多いです。
根にこぶができることで、土から養分や水分を吸収できなくなります。このため、日中にしおれ、夜になると元気になることを繰り返しながら、株が徐々に弱っていきます。ブロッコリーは葉が黄色くなる、ハクサイは実の形が悪くなるなど、野菜によって症状が変わってきます。株全体が枯死する可能性は比較的少ないのですが、根こぶ病を放っておくと、株に大きなダメージを与えてしまいます。特に、ハクサイやキャベツは被害が大きくなることが多いため、注意が必要です。
ネコブセンチュウという害虫による被害でも、根にこぶができます。根こぶ病は、大きいこぶが根の上部を中心にできますが、ネコブセンチュウの被害では、小さいこぶが根全体にできます。見分けるのは簡単ですが、対処法が違うため、間違えないようにしましょう。
根こぶ病の発生時期は5月から11月です。多湿で低温の梅雨の時期や、秋には特に注意しましょう。25度以上になると動きが鈍くなるので、真夏に発症することはまれです。
根こぶ病の原因
根こぶ病の原因は土中に潜むカビです。このカビは、生きた植物の根にしか感染しませんが、7年から10年ほど土中で休眠することができます。このため、一度根こぶ病にかかった土を再利用すると、感染してしまう恐れがあります。根こぶ病菌は、土の中の水分が多ければ多いほど活発になります。また、土が酸性に傾いていると発病しやすくなります。
苗の植え付けや植え替え時に根に傷が付くと、そこから感染することもあります。夏の日中に水やりをすると、土中の水分が熱せられ、根にダメージが及びます。これも根こぶ病の原因になります。
根こぶ病の予防
根こぶ病の予防のためには、水はけのいい土を使うことが大切です。また、夏の水やりは、早朝か夕方に行うようにしましょう。土を中性かアルカリ性にするために、栽培の前に土に石灰を混ぜ込んでおくことも効果的です。
病気の再発を防ぐためには、一度根こぶ病に感染した土では、アブラナ科の野菜を育てないようにします。ただし、根こぶ病抵抗性のあるハダイコンや、ホウレンソウなど、アブラナ科でも根こぶ病菌が繁殖できない野菜があります。これらをおとり作物と言います。苗や種のパッケージに「CR」と書かれているものは、根こぶ病抵抗性がある品種です。根こぶ病に感染する恐れのないおとり作物を植えることで、菌の数を減らすことができます。
根こぶ病の治療
根こぶ病は、初期段階であれば薬剤で治療することができます。オラクル粉剤や顆粒水和剤は活動中の菌の働きを抑えることができます。ネビジン粉剤は、休眠している菌が動き出すのを防ぐ効果があるため、予防の薬剤として使用しましょう。コンテナというスペースが限られた環境の中では、1つの株が発症すると、すぐにほかの株に感染してしまいます。早めの薬剤の使用を心がけましょう。
病状が進んだ根こぶ病は、残念ながら治療することはできません。感染を防ぐために、株を抜いて、焼却処分にしましょう。土の中にこぶの残骸が残らないように注意します。株を掘り起こす時に使ったシャベルなどは必ず消毒してから保管しましょう。